賃貸物件のオーナー様から、ここ最近「アパートの大規模修繕」のご相談をいただく機会が多い為、今回はこのテーマをご紹介したいと思います。

アパートの大規模修繕では、建物の状態や劣化状況に応じて、さまざまな工事が行われます。

一般的な工事内容としては、外壁・屋根・鉄部の補修及び塗装がメインですが、状況に応じてベランダ等の防水工事や外壁張り替えなども必要になる場合もあります。

それぞれの工事内容について簡単に解説していきます。

外壁の補修・塗装は、経年劣化や自然環境、人間活動の影響で汚れてしまった建物の外観を美しく再生させるだけでなく、風雨や紫外線から壁材を守り、建物本体の劣化を抑制する効果があります。

また、外壁のひび割れや剥がれを補修することで、建物の耐久性を向上させることも重要です。

これら外壁の補修・塗装を行う周期は、約10～15年ごとが目安となります。

屋根は風雨や直射日光に直接さらされる為、定期的な補修と塗装が必要となります。

屋根塗装は、下地の防水層を再度保護することで防水性を向上させ、雨漏りを防止する効果があります。これにより屋根材の劣化も防ぎ、結果として建物本体の寿命を延ばす効果も期待できます。

屋根塗装の周期は、約10年ごとが目安です。

手摺や階段・ベランダの侵入・落下防止柵、ドレン、物干金物などの鉄製の部材（金物）は、どうしても経年劣化（錆びによる腐食）が発生してしまう箇所です。

これら鉄部の塗装には錆び止め効果があり、その再塗装は建物の安全性や機能性を確保する上で重要な工事です。

鉄部塗装の周期は約10年ごとが目安ですが、海に近い場所だと特に塩害の影響を受けることから、約5年程度が目安となります。

ベランダは、その構造上どうしても雨水に晒される上に入居者が出入りする生活環境の場である為、溝などの防水層が比較的劣化しやすい場所です。

ベランダの防水工事は、劣化した防水層を全層やり替えすることで更新し、建物本体への雨水浸透による劣化や雨漏りを防止します。

ベランダ防水工事の周期は約10～15年ごとで、先述の外壁補修・塗装工事とあわせて実施するケースが多いです。

外壁の劣化が顕著に見られる場合は、塗装補修だけでなく下地（ボード等）の張り替えが必要となることがあります。

外壁張り替えは、劣化により低下した断熱性や遮音性を再び向上させます。

ただ、外壁張り替えはかなり大規模な工事につきどうしても費用が高額となり、相当の期間、外部足場を建て込む必要もある他、場合によっては一時的に入居者の方にご退去いただく必要もある点には注意してください。

アパートの大規模修繕は、当然相応の工事費用が必要となりますが、単に建物を綺麗に保つだけでなく、賃貸オーナー様にとって様々なメリットをもたらします。

適切な時期に適切な修繕を行うことにより、入居率の向上、建物資産価値の維持、事件事故の防止などの長期的な安定経営に繋がります。

建物の状態を定期的に確認し、これら必要な修繕を実施して順調な賃貸経営を続けられるようにしましょう。

企画営業部　平野